UNKNOWN ASIA 2022

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その他/陶芸作品

吟子 (Ginko

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Profile
1975年 大阪生まれ。私の作品は陶芸作品であるのだが、「泥彩」という技法を用いている。泥彩とは、素焼き前の素地表面に顔料や金属を混ぜ合せた泥(色泥土)にて彩色する、下絵の装飾技法である。下絵とは釉薬の下に絵付けを施すことであり、釉薬の上に絵付けを施すことを上絵という。模様の輪郭を線彫りした内側に、この色泥土を筆にて少しずつ塗り重ねて凹凸をつける。この泥彩という技法自体は然程珍しい技法ではなく、特に難しい技法ではないと思われる。しかし、自身の作品は、色泥土を塗り重ねる回数が他の作家とは明らかに一線を画しており、塗り重ねる回数が圧倒的に多い。色泥土を筆で何度も何度も塗り重ねて盛り上げ、立体的に仕上げる。この塗り重ねる回数が段違いに多いことによって、泥彩の難易度が上昇する。前述したように、泥彩は素焼き前の素地に直接色泥土を筆で塗り重ねて行くのであるが、素地自体が水分を吸って柔らかくなる。素地が色泥土の水分を吸水し、軟化していることに気づかず色泥土を塗り重ね続けると、作品自身の重みに耐えきれず、吸水して軟化した部分が崩壊する場合もある。一気に凹凸を付けたいからと欲を出し、色泥土を盛る加減を見誤ると上記のように崩落する。
塗っては程よく乾かし、塗っては程よく乾かす。ほんの少しずつ盛り上げていく。詳細は後述するが、「程よく乾かす」ということが作品を成功させるポイントとなる。この地道な努力の積み重ねにより、浮き彫りとは異なる柔らかな凹凸が現れる。
「程よく乾かす」とはどういうことか。素地自体をよく乾燥させてから色泥土を塗り重ねれば良い―そのような安直な発想に至ることは迂闊である。なぜならば、乾燥し過ぎた素地に色泥土を塗布すると色泥土が剥離するのである。また、ひび割れの原因となる。素地に適度な湿度がなければ色泥土は定着しない。作品が大きければ大きいほど、作品自体の湿度管理が重要となる。常に素地の湿度を一定に保ち、極力早く下絵の段階を仕上げねばならない。時間と湿度との闘い―それが泥彩の難しさであろうか。「泥彩」という技法の中でも、塗り重ねる回数が格段に多いという自身の作品への執念が、唯一無二の芸術へと昇華した要因である。
主な活動は、どんなに落とされてもコンペに挑戦し続けること。待っているだけでは何も変わらないので、発表する場を求めてUNKNOWN ASIAに応募した。



Career / Prize
1975年 大阪生まれ
2001年 武蔵野美術大学造形学部工芸工業デザイン学科(金工)卒業
2006年 陶芸に転向

<受賞歴>
2008年 第42回、45回 女流陶芸公募展 入選
2010年 第44回 女流陶芸公募展 新人賞 
2012年 第46回 女流陶芸公募展 文部科学大臣賞
2015年 第23回、24回、25回 日本陶芸展入選
    神戸ビエンナーレ2015 現代陶芸コンペティション 入選
2017年 第51回 女流陶芸公募展 なにわ国内留学賞
    第22回 日本の美術 審査員特別賞
2018年 第23回 日本の美術 桂由美賞

 
<個展歴>
2011年 海岸通ギャラリーCASO
2016年 茶屋町画廊

<グループショー履歴>
2007年    武蔵野美術大学校友会大阪支部展 大阪府現代美術センター
2008・2010年 武蔵野美術大学大阪支部展 リーガロイヤルギャラリー
2009年    武蔵野美術大学校友会大阪支部展 海岸通ギャラリーCASO
2012年    Gallery Sin東日本大震災一年チャリティー展
2013年    CRIA展(京都芸術センター)
2014年    銀座三越~琳派へのオマージュ~抹茶碗100選
2016年    Japan Expo Paris 2016(フランス)
2016年    Art Wave Exhibition vol.38 RECTO VERSO GALLERY(東京)
2018年    World Art Dubai 2018(ドバイ)
2020年    第28回 国際平和美術展 京都市美術館別館(京都)






Website / SNS
https://www.instagram.com/ceramic_artist.ginko/